2019/10/09
コラム
賃貸マンションなどの賃貸物件を相続した時、相続税のことも気になりますが、すでに入居している方との賃貸借契約、家賃や敷金がどうなるのか不安ですよね。
今回は、急に賃貸物件を相続することになっても慌てないために、賃貸借契約や家賃、敷金の取り扱いについてご紹介します。
賃貸マンションなどの賃貸物件を所有していた被相続人が亡くなるなどしてそれらの物件を相続した際、すでにその物件を借りている賃借人との契約を急に解除したり追い出したりすることはできません。
賃貸物件の被相続人が従前に賃借人と交わした賃貸借契約の内容は当然そのまま相続されるためです。
しかし、契約内容がそのまま相続されても、賃貸借契約書に記載されている賃貸人の氏名は被相続人のままです。
本来は、賃貸借契約書に記載の賃貸人が被相続人のままであっても、法律上は賃借人と賃貸契約を再締結し契約書を作り直す必要はありません。
ただし、時がたつにつれて不都合が生じる可能性や、契約自体があいまいになってしまう可能性も考えられます。
そこで法律上では問題ないとしても何かあった時のことを考慮して、念のために賃貸借契約書を作り直し、賃借人と再契約を締結しておくと安心であると言えます。
賃貸物件を相続した際、賃借人からもらう家賃はどうなるのでしょうか?
賃貸物件の被相続人が死亡などして相続する際、そもそも相続人が1人であるとは限りません。
被相続人が死亡すると、家賃などが振り込まれる口座は凍結してしまいますので、家賃振込口座の変更とその通知を早急に行う必要があります。
しかし、相続人が複数いる場合はすぐに決定できるものではありません。
また、振り込まれた家賃を誰がもらうかなどということも遺産分割協議が終わるまでは決定されませんので、原則としてはそれぞれの相続人が法定相続分に従って取得する形になります。
法定相続分の家賃がもらえるとはいっても、賃借人に振り分けて振り込むようには言えませんので、その場合は遺産分割協議が続いている期間の仮の振込先として、相続人の代表1名の口座を指定するとよいでしょう。
遺産分割協議が終了し、賃貸物件の相続人が決定したらそれ以降の家賃はその相続人が取得することとなります。
被相続人が賃借人と契約した時、敷金を預かっている場合がほとんどです。
賃貸人には「敷金返還債務」という義務があります。
この敷金返還債務とは、賃貸借契約解約が終了した際に特に事情がなければ敷金を賃借人に返還する義務のことです。
賃貸物件を相続した場合はこの債務も当然相続されますので、預かっている敷金を勝手に使うなどしないようにしましょう。