2019/09/20
コラム
平成25年に税制改定が行われたことで、平成27年1月1日以降に発生した相続税の基礎控除額が変わりました。
この税制改定で、「相続人はどのような影響を受けるの?」「不動産や現金など財産の違いによっても、何か変わるの?」と気になる方もいるでしょう。
そこで今回は、相続税の基礎控除について詳しくご紹介していきます。
今回50年ぶりの税制改定で、相続税の基礎控除額が改定前より40%減額されました。
つまり、相続税が大幅に増額されたのです。
下記の計算式を見ていきましょう。
【改定前】
相続税の基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
↓
【改定後】
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
になります。
イメージしやすいように、父が亡くなり、法定相続人が母と子ども2人の計3名、遺産総額が5,000万円だった場合の具体的な数字をご紹介します。
【改定前】
5,000万円+1,000万円×3=8,000万円
↓
【改定後】
3,000万円+600万円×3=4,800万円
上記の通り、相続税の基礎控除額は3,200万円もの差になり、以前なら申告をしなくてよかった相続税の申告が必要になってきます。
なぜ、このような大きなが起こったのでしょうか。
そもそも、以前の基礎控除額はバブル期に制定されたもので、地価はその後下落を続けています。
そのため、近年相続税の申告を行っている人の割合は、ピーク時の約半分まで落ち込んでいます。
このままでは高齢化社会に向けた財源確保が厳しくなるので、地価に合わせてそのまま据え置かれていた基礎控除額を、現状に即した数字に改定することとなりました。
前の見出しでご紹介したように、相続税の基礎控除が大幅に減額されたことから、相続税の申告者数が増加しています。
遺産総額が控除額に達していなければ相続税の申告は不要ですが、減額されたことで控除額をオーバーするケースが増えたからです。
そのため、全国で見た相続税申告対象者数は約2倍になりました。
中でも地価の高い東京23区では、4人に1人の割合で申告の必要があり、大きな影響を受けそうです。
しかし、相続税の改定に伴って小規模宅地の特例も改定されているので、全ての相続において増税となるわけではありません。
不動産はそのときの周辺環境や特例などで納税額が大幅に変わるので、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
生前贈与や、相続税の非課税枠がある終身保険での節税対策を視野にいれるのも、良いかもしれません。
相続税の対象者が大幅に増加しており、不安な方もいるかもしれません。
しかし、小規模宅地の特例や生前贈与などを活用すれば、不動産の相続は逆に減税になるケースもあります。
心配な方は、一度相続税専門のプロに相談してみるのも良いのではないでしょうか。
下さい!