2020/06/30
コラム
現在、土地の相続登記を義務化するかどうかについて法制審議会などで議論が進められています。
今後土地の所有者が亡くなったときには、相続の登記を義務化する方向で議論は進んでいるようです。
今回は土地の相続登記の義務化を検討している理由や、相続登記をしなかった場合に発生するデメリットについて解説します。
国が土地の相続登記の義務化を積極的に検討しはじめたのは、東日本大震災が発生したことが最大の理由です。
震災の津波で多くの家が流されてしまいましたが、残された土地の所有者を確定するのは困難を極めました。
現在日本の法律では、土地の所有者が死亡したときに相続登記をする義務はありません。
相続登記手続きを司法書士に依頼すると費用が発生し、さらに相続税も支払わなければならなくなるため、登記をしない人も少なくありません。
そのため、実際に土地の所有者を調べてみると何十年も前に亡くなった人の名義になっているというケースが発生します。
そのまま放置し続けると年月とともに法定相続人の数は増え続け、最終的な土地の相続人を決めるときに問題になります。
土地を相続登記するときには、すべての法定相続人が協議したうえで署名・押印をする必要があるためです。
最終的にその土地を相続または遺産分割しようとしても、法定相続人が多すぎると遺産分割協議書を作れなくなってしまいます。
こうした問題を防ぐため、土地の所有者が死亡したときの相続登記義務化が検討されています。
土地を売却するには、その土地の所有者であることを証明する必要があります。
そのため、たとえば死亡した親の土地をそのまま第三者に売却することはできません。
売却するためには、必然的に相続登記をする必要が生じます。
前述のとおり、相続登記するには相続人全員で協議したうえで遺産分割協議書を作る必要があります。
土地の相続登記をしないまま長い年月が経過すると相続人の数が増え、現実問題として協議書を作成するのが困難となってしましいます。
相続登記されていない土地は、相続人全員が法定相続分ずつ共有しているという状態にあります。
そのため、もし相続人の中に借金をしている人がいるとその人の相続分の土地を債権者に差し押さえられてしまう可能性があります。
今回は、国が導入を検討している土地の相続登記義務化について解説しました。
土地の相続が発生した場合に相続登記をしないでいるとさまざまなデメリットがあるため、面倒がらずに相続手続きをおこないましょう。