2020/02/18
コラム
日本全国で、空き家は増加傾向にあります。
その中でも適切に管理されていない・倒壊の危険が高まっている建物は、特定空き家に指定されることがあります。
所有する物件が特定空き家に認定されると行政から指導が入り、最終的に行政代執行による処分対象となります。
特定空き家の認定と行政代執行までの流れや、費用負担について解説します。
近隣住民からの苦情や現地調査により、まず建物の現況を市区町村が調査します。
そして特定空き家であることが判明すると、所有者を特定して代執行の手続きに入ります。
特定空き家に指定されるのは劣化が相当に進んでいたり、ゴミが散乱したりしているような状況の物件です。
そのため人が住める状態である・適切に維持管理されている物件であれば、特定空き家に指定されるケースはほとんどありません。
行政処分の流れは以下のとおりです。
空き家対策特別措置法に基づき、行政から助言が入ります。
それでも状況が変わらない場合、助言より効力の強い勧告・命令の流れに進みます。
勧告が行なわれると、居住用建物に適用されている固定資産税の減免がなくなるなどのデメリットがあります。
そのため行政による助言を受けたら、速やかに対応しましょう。
勧告・命令の流れでも状況が改善しなければ、行政代執行が可能な状態になります。
戒告書・代執行令書による通知を経て、代執行の実施手続きに入ります。
建物の解体工事の場合、業者の選定から契約まですべて行政側がおこないます。
そして代執行に要した費用が確定すると、建物の所有者に対して徴収します。
行政代執行にかかった費用は、建物の所有者に請求します。
処分内容にもよりますが、数十万円から1千万円を超えるケースもあり、これは財産差し押さえや公売などによって強制的に徴収されます。
行政代執行の場合、工事費の安い解体業者を自分で選ぶことができません。
そのため費用が割高になってしまう恐れがあります。
さらにかかった費用の請求は、税金債務と同等に扱われます。
財産や給与の差し押さえで徴収されるだけでなく、自己破産しても免責されることはありません。
行政代執行の具体的な処分の流れや、費用請求について解説しました。
人が住んでいない状態であっても、適切に管理されているなら行政代執行が行われる可能性は低いです。
もし管理できない物件を所有していたら、売却や転用も視野にいれて行政代執行の対象にならないよう注意しましょう。