2020/01/16
コラム
相続税が非課税となるケースが多いのは、様々な特例が存在しているからですが、そのタイミングや方法によっては、相続税が課税になることも非課税になることもあります。
今回は、そんな相続税の節税対策の違いをまとめてみました。
まず、一次相続とは、父と母がいた場合に、どちらか一方が亡くなり、配偶者と子どもが相続をする際のことをさします。
そして、二次相続とは、その後配偶者が亡くなり、子どもが相続する際のことをさします。
一次相続で考慮すべきは、配偶者に対する税額軽減措置であり、特例として1億6,000万円までは相続税が非課税になるという制度です。
まず、相続税の計算としては、全体の遺産額から基礎控除額を差し引いたものを、法定相続分で分割した遺産に対して、それぞれの税率が課されることで決められます。
たとえば、2億の遺産があり、配偶者と子供3人がいたとして、基礎控除額を差し引くと「1億4,600万円」が相続税の課税対象です。
この課税対象を、法定相続分で分割するので、配偶者の課税対象は「7,300万円」、子どもは1人当たり「2,433万円」となります。
これらの課税対象に対して、金額に準じた課税割合に控除を差引したものが実際の課税金額となるのですが、この場合の相続税の総額は「2,435万円」と計算されます。
本来はこの相続税を実際に相続をする割合で分割して負担することになりますが、ここで、配偶者が相続した財産は法定相続分の金額内もしくは1億6,000万円までは非課税という特例を利用しようと画策し、あえて相続を配偶者に100%とすれば、この「2,435万円」については全くの非課税になるのです。
しかしながら、この方法で節税をした場合、一次相続の際に節税できた相続分は、二次相続の際に大きな相続税として跳ね返ってくることになるという点には十分に注意すべきでしょう。
では、これらの違いを考慮した上で、有効な対策はどのようなものでしょうか。
実は、子どもに対しても、小規模宅地等の特例というものがあります。
これは、被相続人と一緒に住んでいた土地を相続したのであれば、330㎡までは評価額を80%減額するというものです。
例えば、被相続人の自宅の敷地の相続税評価額が5,000万円だった場合にこの特例を適用すると、1,000万円にまで評価額を引き下げてくれるのです。
ただし、この特例の適用については、配偶者特例とは違い要件が複雑であるため、要件を満たしているかを十分に確認してから活用する必要があります。
また、この同居という要件は二世帯住宅であっても認められるため、自宅を二世帯住宅に建て替えることも有効な相続税対策になるでしょう。
相続税の節税のために、それぞれの相続税の特例を考慮し活用することは非常に重要ですが、目先の減税だけにとらわれるのは危険です。
二次相続時に子どもにすべての財産が引き継がれることまで見通した上で、相続税対策を考慮していくべきといえるでしょう。