2020/01/14
コラム
単身高齢者が社会問題となっている現代社会において、その相続問題も複雑になりつつあります。
今回は、子どもがいないおじやおばの不動産相続について、甥っ子や姪っ子の立場や遺言の効果を中心にまとめてみました。
まず、相続の基本を知りましょう。
被相続人の年齢が80歳の男性、3人兄弟、配偶者はすでに他界、子宝には恵まれなかった方であると想定してください。
法定相続人としては、まず被相続人の配偶者が一番強い権利を持ちますが、配偶者が他界している場合には、本来は被相続人の子どもが財産のすべてを相続します。
今回の被相続人は子どもがいないため、被相続人の親が財産のすべてを相続しますが、親も当然ながら存命していません。
こうなった場合には、次に兄弟姉妹が財産のすべてを相続することになります。
今回のケースは、3名いる兄弟が相続人になりますが、この三人が他界している場合にはさらにその子ども、つまりは姪っ子や甥っ子が相続の権利を得ること(代襲相続)になるのです。
仮におじやおばに子どもや配偶者がいたとして、「遺言で」姪っ子や甥っ子に不動産を相続させたい旨が記載されていた場合はどうなるでしょう。
たとえ遺言があった場合であっても、法で保証された法定相続人の相続分(遺留分)は侵害することができません。
この遺留分については、本来相続すべき財産の2分の1です。
しかしながら、2分の1といえども、財産がすべて現金であるわけでもなく、簡単に分割できるとは限りません。
たとえば、おじやおばが財産として不動産を所有していた場合に、姪っ子甥っ子をその不動産の相続人に指定するという遺言があったとしても、その不動産が優先的に手に入るわけではありません。
侵害することができない遺留分については、法定相続人から遺留分侵害請求を起こされることになります。
※約40年ぶりの改正により2019.7.1~「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害請求」に代わりました。
つまり、遺言をふまえた遺産分割協議を行うことで、相続人全員が納得のいく財産分配をしなければならないということです。
おじやおばの相続人として、姪っ子や甥っ子が法定相続人になるケースは稀ではありますが、単身高齢者の多い昨今では、知らないうちに自身が相続人となっているケースもあります。
また、おじやおばから不動産を相続させる旨の遺言があった場合でも、法定相続人の遺留分については法定相続人に保証される相続分となります。
遺産分割協議などで、正しく分配する必要があることにも注意しましょう。