2020/01/08
コラム
借地権付きの不動産では、地主に借りている土地に家が建っている状態となっています。
引き継がずに放棄する選択も取れますが、預金などすべての遺産を放棄せねばならず、ややハードルが高い選択です。
この記事では、不動産相続を考える人に向けて、さまざまな権利を相続した結果不要となった借地権の行方について紹介します。
そもそも借地権とは、他人に家を建てるための土地を借りられる権利です。
一度は相続したものの、その上に建つ実家に住む予定がないため権利自体が不要となるケースは少なくありません。
借地権も権利の1つであるため、譲渡や売却の手順を踏めば処分できます。
その1つが、地主に不要な借地権の買い取りを要求する方法です。
単に権利を返還する場合、賃貸借契約を終わらせ、家を更地に戻す原状回復を行ったうえで返還します。
一方、借地権は土地を借りて家を建てられる性質上、財産的価値の高い権利ともいえます。
その価値は時価評価の6割ほどで、地主への買い取り要求も可能です。
とはいえ、多くのケースでは不動産を更地に戻す解体費や、これまでの地代および固定資産税額が天引きされた金額となります。
また、地主に買い取りの義務はないため、買い取りを拒否される場合もあります。
不要な借地権を処分するためには、地主以外の第三者に売却する方法もあります。
そもそも売却するためには、地主の承諾か裁判所の許可のいずれかが必要です。
このうち裁判所の許可を求める方法は地主の承諾が得られない場合の最終手段としての側面が強いので、基本的には地主の許可を得て売却します。
土地とその借地権は、両方合わせて売ると効果的です。
なので、売却したいのであれば地主と共同で販売し、対価はそれぞれの権利の割合を考えて配分するのが良いでしょう。
借地権と底地権を同時に得られるので、買い手が現れやすくなります。
セットとして考えられている側面があるため、別々に売る場合は本来の価値の半分程度に下がるケースも起こり得ます。
第三者に売る際は名義変更料が土地の価格の10%かかる点にも注意が必要です。
相続によらない遺贈もできますが、同様に地主の承諾と譲渡承諾料が発生します。
不動産相続で得る借地権が不要となった場合、地主に買い取りを要求したり第三者に売却したりして処分できます。
それ自体が時価評価の6割ほどの価値を持つだけでなく、土地と合わせて地主と共同で販売すれば買い手が現れやすくなります。
いずれの手段をとるケースであっても、地主とよく相談してから実際の方法を選択してください。