2019/12/09
コラム
近年では、利便性などの面から、老後に戸建てからマンションに引っ越す家庭も増えていますね。
区分所有のマンションは共有部分を自分で掃除や管理する手間がかからない分、定期的に管理費や修繕費の負担があります。
しかし入居者が重病や死亡などの理由で、この管理費が滞納された場合、相続時の請求先はどうなるのでしょうか。
今回は、マンションの管理費滞納分の請求先について、相続開始前と相続開始後に分けてご紹介します。
相続開始前に管理費が滞納されていることが発覚した場合、請求先は法定相続人全員になります。
どういうことかというと、所有者との関係性によって相続できる割合となる法定相続分が決まっているので、それに準じて計算した分をそれぞれが負担するということです。
例えば、父母と子ども(長男次男)2人の4人家族で、父母が老後にマンションに移住し、父母が他界後に実は管理費の滞納分が100万円あったとします。
このとき、マンションは誰が相続するかまだ決まっていませんでした。
このような場合は、一般的に法定相続人の第一順位となる子ども2人で管理費の滞納分を1/2ずつ負担することになります。
つまり、子1人につき50万円ずつ負担するということです。
では、相続人が決まっていた場合はどうなるのでしょうか。
相続開始後に管理費の滞納分が発覚した場合は、相続人がすべて負担することとなっています。
先ほどと同じ例で考えてみましょう。
2人いた子のうち、長男がマンションを相続したとします。
この場合、長男が1人で100万円を負担することになりますよ。
そもそも相続とは、被相続人の財産だけでなく負債も請け負うことです。
登記上の名義が被相続人(亡くなった両親のどちらか)になっていたとしても、管理費は相続人に対して請求されることになります。
相続を放棄することもできますが、それには時間や労力やコストがかかる上にすべての財産を放棄することになりますので、ほかの資産や負債も確認して慎重に検討しましょう。
どちらにしても、親族が管理費滞納分のあるマンションを所有していた場合、法定相続人の関係にあれば少なからず負担があるということは把握しておいてくださいね。
今回はマンションの管理費滞納分の請求先について、相続開始前と相続開始後に分けて詳しくご紹介しましたが、いかがでしたか?
負債がある場合の相続は大変ですが、広い目でみて慎重に検討することが大切です。
売却査定などを一度、不動産会社に相談してみるのもよいかもしれませんね。