2019/12/04
コラム
土地などの遺産を無償利用している場合は、「特別受益」という扱いを受けます。
特別受益がある場合は、相続の際の相続分の算出に考慮されます。
今回は土地の相続を検討している方に向けて、土地の無償使用、特別受益とは何かという点と、親子間で特別受益とみなされるケースについて紹介します。
土地の無償使用、特別受益とはどんな意味なのか、それぞれ説明します。
土地の無償使用とは、そのままの意味で土地を無償で使用することを意味します。
よくあるケースとしては、親の所有している土地に、子どもが家を建てているケースが挙げられます。
通常土地を貸し借りする場合は、借り手は地主に対して地代を支払います。しかし親子の場合は通常無償になります。
地代や権利金を支払わず、無償で土地を使用させることを「使用賃借関係」といいます。
また、親名義の建物に子どもが増築した場合も、土地の無償使用にあたります。
特別受益とは、共同相続人がいる場合、全員が公平に相続するために設けられた制度です。
相続人が被相続人から生前に受けた贈与などがある場合は、特別受益とみなし、相続分から減額するなどし、相続人の中での公平性を保つことができます。
特別受益の対象となるのは、遺贈、学費、贈与、土地・建物の無償使用、生活費の援助などです。
遺言によって、特別受益を考慮しないと指定することも可能です。
親子で使用賃借をする場合は、子どもは親から借地権相当額の贈与を受けたことになり、特別受益が適用されるケースがあります。
例えば親の土地に子どもがマイホームなどを建築すると、使用賃借権の贈与となり、土地の価格の20~30%が特別受益に該当します。
実際にはその土地をしている相続人がそのまま遺産分割で相続するケースが多いので、結果的には特別受益の問題は顕在化しないことが多いです。
また、建物内で親と同居していて、看護・介護など行なっていた場合は、特別受益にはあたらないと考えられます。
なお、一般的に建物の無償使用にともなう使用賃借権は、特別受益とはみなされないとされています。
今回は土地の相続を検討している方に向けて、土地の無償使用、特別受益とは何かという点と、親子間で特別受益とみなされるケースについて紹介しました。
親の土地を無償で使用してマイホームなどを建てている場合は、相続人同士で公平性をはかるために相続分が減額されることがあります。
使用賃借などをしている場合は、遺言などで扱いを明記しておくことで相続人同士のトラブルを防ぐことができます。