2019/11/29
コラム
親子で住む二世帯住宅では、子世代は土地や建物の購入負担が減り、孫たちの面倒も見てもらえること、そして親世代は、健康に不安が出てきたときに助けてもらえることなど、二世帯住宅で一緒に住むにはさまざまなメリットがあります。
ところが、二世帯住宅にすると相続分を巡り、トラブルが起こりがちというのをご存知でしょうか。
二世帯住宅で起こりやすい相続トラブルの理由と対処法を紹介します。
親が持つ土地に、親子で折半して、もしくは親子どちらかが負担して二世帯住宅を建てる場合、親、子、孫それぞれが何かあったときに頼りにでき、単独で住むより光熱費なども安く上がるなど、メリットも多いですね。
相続では、子どもが一人の場合はすべてを相続しますからトラブルの起こりようがありませんが、兄弟姉妹はその人数で遺産を割ることになります。
財産が金融資産であれば単純に人数で割ればよいのですが、不動産は割れるものではないため、これが住宅を巡る相続トラブルとなってしまいます。
遺産で金融資産があれば、同居の子が不動産を、他の兄弟が金融資産を受け継ぐこともできるでしょう。
しかし、不動産しかない場合は、残された二世帯住宅を同居の子が相続し、他の子へ対価を支払う方法もありますが、孫世代の教育などでお金がかかり、金銭補償が難しい時期でもあります。
二世帯住宅・土地を共同で所有することもできますが、今後住宅を賃貸物件として出すにも売却するにも、全ての所有者の許可を取らねばならず、問題の先送りともいえます。
二世帯住宅を売却し、売却益を均等割して受け継ぐこともありますが、同居の子世帯は、新たな住宅探しも並行して行わなければなりません。
同居にはメリットもありますが、同居の責任や介護などストレスもあり、そのバランスは個々の家族によって大きく異なります。
不動産が簡単に分割できないという理由で起こる相続のトラブルを避けるためには、同居を始めるときに親世代が対策をとっているか、遺言書を残しておけるかにかかっています。
二世帯住宅相続時のトラブルを避けるためには親が、同居する以外の子供たちへ、しっかりと話をしておくことが大切です。
同居、そして体が弱くなった時の面倒を見てもらった感謝として、二世帯住宅は同居の子へ継がせたい、その他の分は生前贈与や対処法などを、明確にしておきましょう。
そして可能であれば、遺言書へこれらの内容をしたためておきましょう。
遺言書は、書くべきことがしっかり書いていないと、無効になることもありますし、遺留分などが発生することもあります。
専門家に相談しながら作成することをお勧めします。
二世帯住宅は相続時にトラブルが発生しやすいというデメリットがあります。
話しにくいと避けるのではなく、あらかじめ家族でしっかりと話しあい、遺言書にして残すなどして、トラブルを回避する手段をとりましょう。