2019/11/22
コラム
親や親族が亡くなった際に、遺産相続をする機会があるかもしれません。
これは必ずしも不動産や貯蓄などのプラスのものばかりではなく、借金や連帯保証人の責務も相続対象となります。
遺産を相続する3つの方法やその違いと、そのための熟考期間についてお話しいたします。
遺産を相続する方法として単純承認、限定承認、相続放棄の3種類の方法があります。
通常何もしなければ単純承認とみなされ、不動産、貯蓄、動産、借金、ローン、連帯保証人の責務…などプラスもマイナスも全て相続の対象となります。
相続財産を調査した結果マイナスの方が多かった場合は相続放棄をすることになります。
相続放棄は自分一人だけ法定相続人から外れるという趣旨の物ですので、家業を継ぐ兄弟に全て相続してもらう場合などにも使えます。
借金があるかどうかはっきりしない場合や、借金はあるけれど手放したくない遺産がある場合などは限定承認という方法を取ることもできます。
この限定承認は残された遺産の範囲内で借金の返済を行うというもので、思いのほか借金が多かったとしても、自分の貯蓄から支払う必要はありません。
一見とてもいい方法のようですが、難しい点もあります。
限定承認相続の場合、その相続財産でマイナス収支の支払いを行うという性質上、マイナスが全てはっきりするまで遺産に手を付けることができません。
しかもマイナスがあった場合、不動産は基本的に競売に掛けられて返済に充てられてしまうため、故人との思い出の家であっても手放さざるを得ない場合もあるのも事実です。
そして法定相続人全員が限定相続をすることに賛同し、相続発生を知った翌日より3か月以内に家庭裁判所に届け出が必要になります。
法定相続人の数が多い場合などは、全員一致の意見を出すのはなかなか難しいことも多いようです。
限定承認や相続放棄の場合は3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出が必要なため、熟慮期間はたったの3ヶ月しかありません。
しかも相続のこと以外にも、葬儀や遺品整理、納骨をはじめとした様々な手続きを並行して行わなくてはならないのです。
3ヶ月で決めかねてしまう場合は単純承認するしかないのかというと、そうでもありません。
例えば財産が多くて調査に時間が掛かってしまった場合など、正当な理由があれば家庭裁判所に熟慮期間の延長申し立てをすることも可能です。
また3ヶ月以上経過した後に故人に借金があることが判明した場合でも、そこから3ヶ月以内に申し立てすれば相続放棄が認められることもあります。
大切な人が亡くなり、気持ちもまだ立ち直れない時に、葬儀や納骨と並行して遺産について調べたり、決めたりするのは非常に大変なことです。
熟慮期間も3カ月しかないので3つの方法の違いについて事前にきちんと理解し、ある程度答えを決めておいた方がいいでしょう。