2019/11/19
コラム
生涯独身者の数が増加し、自分が死んだ後に財産を受け継ぐ相続人がいないという人も増えてきています。
相続人のいない不動産は被相続人の死後どうなってしまうのか、被相続人が生前にしておくべきことについてお話しいたします。
通常被相続人が死亡すると、その配偶者、子ども、孫、親、祖父母、兄弟姉妹、もしくは甥や姪が法定相続人となります。
しかしこれらの親族が全くいなかったり、いたとしても全員が相続放棄をしたり、相続資格を失っている場合は「相続人不在」となります。
この場合は地域の弁護士が家庭裁判所より選任され、相続財産管理人となります。
この相続財産管理人によって、計3回官報で公告が行われ相続人を捜索します。この公告を見て名乗り出てきた相続人や債権者などに遺産が渡りますが、それでも誰もいない場合には最終的に国庫に帰属することになります。
しかし自分の遺産が、見ず知らずの遠い親戚に相続されたり、国のものになってしまうのは納得のいかない人もいるでしょう。
事業を経営している人であれば事業の後継者に引き継いでもらったり、介護などでお世話になった人に託したいと思う人もいるでしょう。
こういった場合には元気なうちから遺言を作成しておくことをおすすめ!
遺言には自筆証書遺言のほか、公正証書遺言、秘密証書遺言などの種類があり、一般的な物は自筆証書遺言となります。
これは全文を手書きで作成し、年号も含め日付けを記載、印鑑を押し、書き間違えた場合には民法の規定に沿って訂正するなどルールはあります。
しかし、今すぐにでも書くことができる一番シンプルな遺言書と言えます。
より確実なものにしたい場合には、公証人に作成してもらう公正証書遺言がおすすめ!
公証人に口述で遺言内容を伝え、公証人に書類作成してもらう方法です。
相続が行われる際に家庭裁判所の検認が不要なため、遺迅速に遺言状の内容を執行できる上に、遺言の原本は公証役場で管理されるため、改ざんや紛失のリスクもありません。
そしてもう一つ、検討しておくべきなのは不動産の現金化です。
遺産の中でも不動産は分割が難しいですし、相続後も固定資産税や諸手続きが多く、相続人の負担になりうる遺産と言えます。
場合によっては生前に不動産を売却し、現金での相続が可能な状態にしておくことも視野に入れておくといいでしょう。
自分が死んでしまった後、自分の遺産がどうなるのかは気になるところ。
知らない親戚や国のものになってしまわないよう、元気なうちから遺言状作成について考えておくといいでしょう。