2019/11/07
コラム
本人に代わってさまざまな法的手続きを行う成年後見人は、不動産相続の遺産分割協議にも関わる大切な役割も担っています。
しかし、成年後見人になれない人がいることをご存じですか?
ここでは成年後見人になれない欠格事由と、親族や専門家を選任するメリット・デメリットについてご紹介いたします。
成年後見人には親族はもちろん、第三者や専門家など、資格不要で誰でもなることができます。
しかし、以下の5つに該当する人はなることができないので注意しましょう。
・未成年者
未成年者は判断能力に乏しく、相続手続きを行うには未熟なため成年後見人になることができません。
・破産者
自己破産をした人は、自身の財産管理ができないことから欠格事由に該当し、成年後見人になる資格がないと判断されてしまいます。
・過去に後見人を解任されている人
不正行為などで後見人の立場を過去に失ったことがある人は、今後も成年後見人としての役割を果たせないとみなされてしまいます。
・行方不明者
居場所が分からない人に対して、財産管理や相続手続きを依頼するのは不可能です。
また、連絡手段がない場合や知らされていた住所にいない場合も行方不明者として扱われ、欠格事由に該当します。
・被後見人に訴訟を起こした人
相続問題だけでなくなんらかの訴訟を起こした人と、その配偶者および直系血族は成年後見人になる資格がありません。
しかし、対立関係が解消すれば、成年後見人になることができます。
成年後見人を選任するときは、上記5つの欠格事由に該当していないかチェックしておきましょう。
これまで親族を選任することが多かった成年後見人ですが、近年は、専門家を選ぶケースが増えてきています。
〈親族を選任する場合〉
親族を成年後見人に選任するメリットは、相続の場面などにおいて、身内ならではの信頼関係を得られるというところです。
また、親族間では報酬が発生しない場合が多く、財産の減少を抑えることができます。
デメリットは手続きや財産管理など、後見人の負担が大きくなってしまうという点が挙げられます。
〈専門家を選任する場合〉
司法書士や弁護士など、専門家を選任することで、専門性の高い支援を受けることができます。
相続問題など、複雑な業務もスムーズに行ってくれるのも専門家に依頼するメリットといえるでしょう。
しかし、その専門的な支援に対し報酬を払わなくてはなりません。
また、成年後見人は身上監護を行う資格も持っていますが、血縁関係のない被後見人とのコミュニケーション不足を招くおそれがあります。
成年後見人には、欠格事由に該当しなければ、資格不要で誰でもなることができます。
しかし、選任する人それぞれにメリットとデメリットがあるので、決断がむずかしいかもしれません。
本人や親族にとって、プラスの多い後見人を選べるといいですね。