2020/01/24
コラム
住宅ローンを組む際に、もし名義人が亡くなったら相続がどうなるか気になる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、住宅ローンの名義人が、住宅ローン以外の借金も抱えたまま亡くなったパターンではどう対応すればよいのかについて解説します。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの名義人が返済中、死亡や高度障害を負うなどの事態に陥った際、残りの住宅ローンを保険金にて弁済する生命保険です。
ですから団体信用生命保険に入っていれば、住宅ローンの名義人である夫が死亡しても、妻は住宅ローンの残りを払うことなく住宅が手に入ります。
住宅ローンの契約時には加入が必須であるパターンが多いため、住宅ローンを組んでいる人の大半は入っています。
ただし、「フラット35」など加入が義務づけられていない住宅ローンでは未加入者もいるため、注意が必要です。
それでは、亡くなった名義人に住宅ローン以外の借金があるパターンではどうなるのでしょうか。
相続には、次の3種類があります。
・単純承認:通常の相続。財産も負債もすべてを相続する。
・限定承認:相続した財産で負債を支払った後、財産が残っていればその分を相続できる。
・相続放棄:財産も負債もすべてを相続しない。
限定承認は、たとえば相続財産700万円・借金1,000万円のパターンなら、700万円を返済に充てても返せない借金300万円は返済不要となります。
しかし、いずれの方法を選んでも、借金の相続は放棄して財産だけを相続することはできません。
そのため、名義人の夫に住宅ローン以外の借金があったパターンでは、妻は自宅の相続を希望するのであれば、ローン以外の借金も返済していく必要があります。
ローン以外の借金が手持ちの資産で返済できないほどの金額であれば、相続した自宅を売った金額で借金を返すか、相続放棄で自宅も借金も手放すかといった選択が必要です。
被相続人に住宅ローン以外の借金があるパターンでは、どう相続すると一番金銭的負担が少ないかを総合的に考え、相続開始を知ってから3か月以内に必要な手続きを踏むことが求められます。
住宅ローンの名義人がほかにも借金を抱えて亡くなったパターンでは、名義人が団体信用生命保険に入っていれば、住宅ローン自体は払わなくて済みます。
しかし住宅ローン以外の借金については、自宅を相続したいなら借金も相続が必要なため、負担が大きくならないように限定承認や相続放棄など適切な方法を選択するようにしましょう。