2020/01/22
コラム
不動産の相続が発生したあと、財産を相続予定だった人が亡くなってしまうことがあります。
するとそこで新たに生じた相続人が、もとの相続人の立場を引き継ぐことになります。
これを「数次相続」といい、一般的な不動産相続とは違うポイントがあります。
数次相続とは、相続の手続きが終わる前に相続人が亡くなってしまい、第二・第三の相続が発生することをいいます。
たとえば夫が亡くなり遺産分割協議をしている最中に、相続人のひとりである長男が亡くなったとします。
通常は妻と残りの兄弟(二男・三男など)で相続するので、死亡した長男に遺産は分配されません。
しかし長男に配偶者がいた場合は、その配偶者が相続人となる形で数次相続が発生します。
これは、配偶者がその権利を引き継いでいるためです。
数次相続と混同しがちなものに、代襲相続があります。
これは相続発生以前に、子が先立ったパターンなどが該当します。
そして大きく違うポイントとして、代襲相続では配偶者は相続人になりません。
つまり被相続人から見て、婿や嫁は相続人に該当しません。
ただし孫やひ孫などの直系卑属は、代襲相続として扱われる点がポイントです。
現金預金は比較的分割が容易な財産なので、スムーズに遺産の分配が可能です。
一方で不動産のような相続手続きに時間がかかる財産は、二重・三重で相続が起こる原因になります。
もしそのような事由が発生したら、以下のように対応を進めていきましょう。
相続税の申告・納付期限は、事由が発生してから10ヶ月以内となっています。
しかし二次相続・三次相続が発生すると、その時点からさらに10ヶ月期限は延長されます。
注意したいポイントは、ほかの相続人について期限は変わらない点です。
数次相続により相続人が増えたとしても、法定相続人ひとりあたり600万円が加算される基礎控除額は増えません。
その代わり、相次相続控除を利用することが可能です。
10年以内に次の相続が起こると、2番目の相続税は1年あたり10%減らした額を控除します。
たとえば3年の時点では30%減らし残った70%が、相続税から控除されます。
そのため二番目の相続が短期間で発生するほど、控除額も大きくなります。
不動産相続で数次相続が発生したときの違いや、知っておきたいポイントを紹介しました。
不動産の場合は時間がたつほど手続きが煩雑になりがちですから、事由が生じたら税理士など専門家に相談することがおすすめです。