2020/01/21
コラム
土地を借りてその場所に建物を建てる権利のことを、借地権といいます。
土地はあくまでも借りているだけですが、相続が発生すると借地権も相続財産に含まれます。
相続した不動産が借地権付きの土地に建っていたとき、必要となる名義変更手続きの方法や費用の相場を紹介します。
借地権に関して、名義変更の手続きはいりません。
一方で建物のほうは、名義変更として所有権移転登記をすることが必要です。
なお所有権移転登記自体をしないままでも、建物を相続する(居住する)ことは可能です。
しかし何世代にもわたり名義変更が行われないまま放置すると、後々に権利関係が分からなくなってしまいます。
そのため基本的には所有者が変わった時点で、名義変更も合わせて実施しておきましょう。
借地権の名義変更において、地主の承諾は不要です。
また土地の貸借に関する契約も、前所有者の内容がそのまま引き継がれます。
ですが相続が発生した時点で、その旨を地主へ連絡しておきましょう。
遺産分割協議中であっても地代は発生しますし、今後のやりとりを円滑におこなうためにも地主との連携が不可欠です。
建物を受け継ぐだけなら、地主の承諾は不要で費用もかかりません。
しかし売却処分する場合は、借地権の名義変更料が発生します。
また借地権も合わせて売却することになりますから、地主の承諾も必要です。
さらに地主へ手数料を支払わなければならないケースもあります。
そして相続するのが法定相続人以外で、遺贈にあたる場合も同様に地主の承諾が必要となるので注意してください。
名義変更には、以下の書類が必要です。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書
・遺言書もしくは遺産分割協議書
・固定資産税評価額のわかる書類(固定資産税証明書など)
建物とともに借地権を売却するとき、地主へ手数料(承諾料)を支払います。
相場は借地権価格の1割です。
なお第三者へ売却する際は、自身の所有する借地権と地主が所有する底地権(土地を貸す権利)をセットで売るのがおすすめです。
セットになると土地は所有権として販売できますから、より高い値段で不動産が売れる可能性が高まります。
ですから状況に応じて、地主の底地権と同時に売却ができないかを交渉してみてはいかがでしょうか。
相続した不動産が借地権付きの建物であった場合の、名義変更の方法や売却時の費用相場について解説しました。
基本的には地主との連携が不可欠ですから、相続が発生する前から準備を進めておきましょう。