2019/10/24
コラム
相続税は、申告の期限後であっても、納めすぎた税金を還付してもらえることをご存じですか?
「更生の請求」の手続きによって、相続税の還付をうけることができる制度があるのです。
どんな制度で、どのような手続きをすればいいのでしょうか?
「更生の請求」とは、最初の申告の際に、相続財産の評価額を本来よりも高く申告した可能性のある財産があり、本来の評価額で再計算してみると、相続税額が少なくなる場合に行う手続きです。
土地などの不動産は、相続財産に占める割合が高く、その分相続財産全体の評価額を押し上げるので、それにともなって相続税も多く支払っているケースがあります。
土地などの不動産について、評価方法を見直すことで相続税評価額が下がり、それに伴って本来支払うべきだった相続税額も下がり、先に納付した相続税との差額の還付を受ける手続きを行うことができます。
「更生の請求」をしようと考えた場合、まずは先に納付した税の申告内容を確認することが必要になるので、税理士などの専門家に依頼し、還付が受けられるかどうかの判断を仰ぎましょう。
その際は、セカンドオピニオンという意味合いも含めて、最初の納税時とは違う専門家を選ぶことをお勧めします。
「更生の請求」には、その理由によって2つの期限があります。
その期限を過ぎてしまうと、「更生の請求」を行う権利を喪失しますので注意が必要です。
財産評価の訂正や、計算ミスが理由で「更生の請求」をする場合は、相続税の申告期限から5年以内であれば、正しい申告内容に訂正することが可能です。
この手続きにより、相続税の還付を受け取ることができます。
相続税の申告後に、特別な事情を知った場合の期限は、その事情を知った日の翌日から4ヵ月以内となります。
この手続きを、「更生の請求」の特則といいます。
特別な事情とは、例えば、相続人の人数が増えたり、未分割の財産の分割割合が決まったり、遺贈に関する遺言状が改めて見つかったりした場合などです。
土地などの不動産の評価については、専門家によって解釈が違う場合もあります。
特に評価の難しい土地については、税務署の見解や過去の判例などを確認する必要が出てくることもあります。
「更生の請求」は、評価の難しい相続不動産の相続人にとって、知っておくべき手続きの一つだといえます。